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映画『アイアン・スカイ』をみた

敗戦によるドイツ第三帝国崩壊の折に、密かに地球を脱出したナチス残党が、月にその本拠を構え、地球への侵攻を虎視眈々と伺っている。その最大の切り札となるのが超巨大戦艦「神々の黄昏」‥なんかミリタリー・オタクの妄想を映像化したような作品だが、まさにその通りです。
本作に登場する様々なメカの呆れるほどディテールにこだわった描写は圧巻だが、本作の魅力はもちろんそれだけではないんです。
侵攻の前準備として地球(アメリカ)に乗り込んだ先遣隊が目にする物質文明に汚染されたアメリカの描写の数々は、現代社会への風刺に直結します。
ドラッグとセックスと核しか眼中にないようなアメリカのこき下ろしぶりは観ていてある意味痛快です。
この風刺の目はアメリカ、ロシアを中心とした各国の軍事バランスにまで行き渡り(特に国連会議における北朝鮮代表の発言は爆笑‥)抜け目がないです。
さらなる本作の魅力はパロディ精神の旺盛さです。
チャップリンの独裁者』のような明示から『スタートレック』や『2001年宇宙の旅』を匂わせる暗示に至るまであります。
古今東西の映画が肴にされているが、その中には我らが『宇宙戦艦ヤマト』まで含まれているのが嬉しいところです。
劇中に登場する飛行船を模したツェッペリン型宇宙戦艦(正しくは空母だが)なぞクイーン・エメラルダス号も彷彿させます。
バカ映画を装いつつ意外としたたかな計算が働いた映画だったなぁ‥と思わせるけど、でも実際観てみるとやっぱりバカ映画以外の何者でもなく、そんなさじ加減の絶妙さが楽しめる作品です。